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|ご飯粒は 皆 神さん|おぶくさん

 祖母は明治生まれ。いつも黒っぽい着物に割烹着、前垂れをして針仕事をしたり、炊事にいそしんでいる姿が思い出されます。 もうお星さんになっているのですが、その身の回りはきれいに整理してあってそれはすっきりしたものやった。と感心するように母は言います。
必要以上のものを持たず、家事仕事全般、日々の知恵に長けた明治人間の生活観を持ち合わせていた人の背筋は共にいつもシャンと伸びていて、 やさしかったけれど、ちょっと近寄りがたい、そんなおばあちゃんでした。

 どの家庭にもガスや電気の炊飯器が普及していた昭和40年代になっても、鉄釜で炊くご飯はおいしいからと言ってわが家ではまだおくどさんでご飯を炊いていました。 炊き上がるとまず竈の神様、三宝さんと仏さんへ おぶくさん と言って炊きたてのご飯をよそって供え、それからおひつに移します。 鉄釜でご飯を炊くと釜の底に焦げ付いた飯粒 おこげ がびっしりつくのですが、祖母は「ご飯粒は 皆 神さんやしな。きれいに食べんとバチがあたる。」と言いながら おこげのついた釜にお茶碗2杯ほどの番茶を流し込んで、しゃもじで飯粒を洗うようにこそげ落としながら残り火でクツクツと炊きました。やがて、ご飯のでんぷん質が溶けた中にこげた飯粒のツブツブが混ざった番茶色した おゆ ができました。おゆ は、おこげの香ばしさを上手に生かしたあっさりしたお粥のよう。美しい漆椀でこだわりの塩など添え、すました顔でお出しすれば、それが釜のこげをこそげて作った食べ物とは気づかないほど上品な味わいのものです。こびりついた飯粒をそこまでに引き上げる先人の知恵には恐れ入りました、です。竈の神様 三宝荒神


  毎日繰り返される暮らしへの真摯な気持ち、遊び心、それから 足るを知る。なかなか難しい課題ばかりだけれど、そんな先人の心持を今の暮らしに生かすことで元気になれるときが確かにある。
そう思うのは私だけでしょうか。。

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